犬と暮らしていると、時折「ん?」と首をかしげるような出来事に遭遇することがある。だが、あの夜の出来事は、そういう“可愛らしい違和感”とはまるで違っていた。
舞台は中国地方のとある団地。自然豊かで人も少なく、犬をのびのびと飼うには最適の場所だ。うちのミックス犬の「助六」もこの団地でのんびりとした日々を過ごしていた。あの日までは——。
奇妙な夜と“何か”の足跡
6月のある蒸し暑い夜だった。雨が上がり、霧がうっすらとかかる中、家の外でゴトン…ゴトン…と何かが倒れるような音がした。窓を開けると、助六が唸った。コイツがあんな低い声で唸るのは珍しい。私が見に行こうとすると、さらに助六が吠え出した。
その瞬間、庭の奥の草むらがガサッと大きく揺れ、何かが逃げていくような気配があった。ライトで照らすも、何も見えない。ただ、翌朝確認すると、重ねていたブロックが倒れていた。
団地に広がる噂、そして「チュパカブラ」とは・・・
その数日後、団地のあちこちで奇妙な出来事が続発した。夜の公園で大型の獣がいた・・・。猫のみーちゃんのエサが盗み食いされた・・・など
「チュパカブラじゃ……」
私はそう思った・・・。チュパカブラといえば、メキシコやアメリカ南部で家畜の血を吸うとされる未確認生物。まさかそんなものが日本の山奥に?

助六が見た“何か”
とある日の夜。助六が異様な行動を見せた。普段は夜になれば寝ているのに、その日は家の玄関先から一歩も動こうとしない。耳をかたむけ、鼻をヒクヒクさせ、まるで誰かが家に近づいてくるのを待ち構えているようだった。
そして深夜1時すぎ。助六が吠えた。ものすごい勢いで。私は飛び起きた。カーテンをあけると何かが走っていくのが見えた。
「チュパカブラじゃぁ」
それは大型犬くらいの大きさだが、姿勢が異様に低く、体毛は薄く、目がギラリと光った。私は声も出せず見つめていたが、助六が一声吠えると、そいつは山の方へ消えていった。
決着の夜
数日が経ち、再び静寂が団地に戻っていた。だが、私は知っていた。アイツはまだいる。
決着の夜は、満月が山の上に浮かんだ晩だった。助六が急に走り出し、私は懐中電灯を片手に後を追った。彼が向かったのは、裏山。
闇の中に向かい、助六が唸る声が聞こえた。私はライトを向けたが、そこには何も見えなかった。
だが翌朝、裏山の木には鋭い爪痕。そして、焦げたような匂いなどはなかった・・・

あれは本当にチュパカブラだったのか?
その日以来、団地でその獣を感じることはなかった・・・。
あれは本当に“チュパカブラ”だったのだろうか? ・・・・・それとも、私たちが知らない別の“何か”?
いま言えることは99%の確率でアナグマかイノシシだという事だけだ・・・。イノシシだろうが、チュパカブラだろうが、散歩のときガサガサってなったら超絶怖い!
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